奈良県にある茶畑は、約600ha。東京ドーム約130個分と言えば、その広さが伝わるでしょうか。ですが、30年前と比べると半分以下に減ってしまったそう。
原因はいろいろ考えられますが、伊川さんは、自然の仕組みとの不調和や、人々から本当に求められているニーズに目を向けなかったことが大きいと考えています。
例えば、肥料は茶樹の寿命を縮め、昆虫を駆除する農薬は土や水を汚す。循環を崩せば、結果的に大きな負荷となって環境や人間に返ってくるのです。
こうした環境の課題を解決し、営農と両立させたいと始めたのが自然栽培でした。自然栽培とは、肥料や農薬を使わない耕法。最低限の手入れで、植物の持つ力を最大限に引き出す特性があります。数年かけて土壌から余分な肥料や農薬をなくし、茶畑にしてまた数年。辛抱強く待つと、草や昆虫が活躍する地へと再び戻っていくのです。
もちろん、いつもうまくいくとは限りません。時には失敗が成功を導いてくれることもあるだけに、あまり決めきらず、柔軟な形で付き合うことが大切なのでしょう。
現在では、奈良県内の約10%の茶畑が無農薬に移行。全国でもかなり高い普及率とされています。 自然栽培でつくられた茶葉の安心感は、原料として用いるQUONの安心感にも繋がっています。
お茶がつなぐ関係の興味深さを、改めて実感する今日この頃です。